「ぐんま5つのゼロ宣言」とは?実現に向けた太陽光発電や蓄電池の役割
「ぐんま5つのゼロ宣言」は、2050年までに「自然災害による死者ゼロ」などの目標を掲げる群馬県の持続可能な社会構築に向けた取り組みです。実現に向けて、太陽光発電や蓄電池の導入が重要な役割を果たしています。これにより、再生可能エネルギーの推進と災害時の停電リスクの低減が進められ、平常時の電力コスト削減にも寄与しています。
「ぐんま5つのゼロ宣言」とは?
日本をはじめ、世界中の多くの国と地域で異常気象や自然災害が発生しています。これらは地球温暖化によるものであるといわれています。そのため、地球温暖化対策に関する枠組みとして、パリ協定が締結されてからは世界中の国々で地球温暖化の原因のひとつである温室効果ガスの削減に取り組んでいます。
ここでは、群馬県が独自で取り組んでいる「ぐんま5つのゼロ宣言」について、詳しくご紹介いたします。
◇「ぐんま5つのゼロ宣言」の目標
「ぐんま5つのゼロ宣言」は、群馬県が2050年までに達成を目指す5つの重要な目標を掲げています。まず、「自然災害による死者ゼロ」を目指し、県土の強靭化と県民の防災意識向上に取り組んでいます。具体的には、災害に強い県土づくりや「自らの命は自らが守る」という意識の徹底を進めています。
次に、「温室効果ガス排出量ゼロ」を目標に、群馬県の豊富な再生可能エネルギー資源を最大限に活用しています。「ぐんま再生可能エネルギープロジェクト」の推進や省エネ・節電対策の強化などが主な取り組みです。
「災害時の停電ゼロ」では、エネルギーの地産地消を進め、災害時でも電力供給を継続できる体制づくりを目指しています。これにより、地域外への富の流出も防ぐ効果が期待されています。
「プラスチックごみゼロ」に向けては、プラスチックの資源循環構築やワンウェイプラスチックの使用削減、代替素材への転換促進などを行っています。最後に、「食品ロスゼロ」を目指し、「MOTTAINAI運動」の展開や食品関連業界での取り組み推進など、食品廃棄を減らす努力を行っています。
これらの目標を通じて、群馬県は持続可能で災害に強い社会の構築と県民の幸福度向上を目指しています。
◇「ぐんま5つのゼロ宣言」が掲げられた背景
ぐんま5つのゼロ宣言は持続可能な社会の構築および県民の幸福度の向上のために掲げられました。
2020年10月に発生した台風19号の影響により、多くの県民と財産が犠牲になりました。この一件により、自然災害によるリスクを抑えつつ、温室効果ガスの排出量ならびに災害時の停電をなくす取り組みを決断されました。また、群馬県の豊富な資源のひとつである水源を守るため、プラスチックごみおよび食品ロスの削減を目指しています。
群馬県が導入した災害時の停電「ゼロ」対策
画像出典:フォトAC
群馬県は再生可能エネルギーの活用やエネルギーの地産地消の推進および水素社会の実現に向けた取り組みを通して、災害時の停電をなくす取り組みを行っています。こちらでは、群馬県が導入した災害時の停電「ゼロ」対策について、詳しくご紹介いたします。
◇本庄市の取り組み
本庄市は、持続可能な社会の実現と環境負荷の低減を目指し、日産自動車や関連企業、東京電力グループ、カインズと「電気自動車を活用したSDGs連携協定」を締結しました。この協定には主に二つの重要な取り組みがあります。
まず、本庄市は電気自動車(EV)の普及啓発活動を通じて、環境負荷の低減に取り組んでいます。これは、温室効果ガスを排出しないゼロエミッション社会の実現に向けた重要な一歩となります。
次に、災害時の安全確保策として、地震などによる大規模停電が発生した際に、市が指定する避難所等で電気自動車を非常用電源として活用する計画を立てています。具体的には、埼玉日産自動車、日産サティオ埼玉北、日産プリンス埼玉販売、カインズから貸与される「日産リーフ」を電力源として使用し、避難所の円滑な運営と市民の安全確保に努めます。
この協定は、本庄市のSDGs達成や環境・防災対策と、日産自動車の「ブルー・スイッチ活動」、そして東京電力グループとカインズの環境・エネルギー対策が合致した結果として締結されました。これにより、本庄市は環境保護と災害対策の両面で、より強固な取り組みを進めることが可能となります。
◇みどり市の取り組み
みどり市は地球温暖化に対する取り組みとして、『みどり5つのゼロ宣言』を掲げています。詳しい取り組みとして、拠点避難所への空調設備の設置、公共施設におけるオンサイトPPA事業の実施、指定避難所などへの非常用発動発電機の設置、電気自動車を活用した非常用電源の確保などが挙げられます。
一般家庭でもできる災害時の停電対策
一般家庭でもできる災害時の有効な停電対策として、太陽光発電と蓄電池の設置が挙げられるでしょう。ここでは、一般家庭でもできる災害時の停電対策について、それぞれ、詳しくご紹介いたします。
◇太陽光発電と蓄電池の設置
太陽光発電システムは、日中の太陽光によって電力を生成します。しかし、太陽が沈むと発電が止まってしまうため、夜間の使用には限界があります。
そのため、蓄電池を設置することで、日中に生成した電力を蓄えておき、夜間や停電時にもその電力を使用することが可能になります。これにより、災害時に停電が発生しても、自宅で電気を利用できる安心感を得ることができます。
また、蓄電池は消費した電力を再充電することができるため、停電が長引いた場合でも電力の繰り返しの使用が可能です。このため、災害時でも生活を継続できるだけの電力供給が確保できるのです。
◇一部の市町村では補助金を交付
設置費用の高さから、太陽光発電システムと蓄電池の導入を躊躇する家庭も少なくありません。しかし、これらの設置費用を軽減するため、一部の市町村では補助金を交付しています。
例えば、伊勢崎市、前橋市、高崎市、太田市、熊谷市、深谷市、本庄市などが、その対象となっていることが多いです。これらの市町村では、家庭が補助金の対象であるかを確認することで、導入を検討しやすくなります。
このように、一般家庭でも災害時の停電対策として、太陽光発電システムと蓄電池を導入することで、安心して生活を維持できる環境を整備することが可能です。自治体の補助金制度を利用することで、経済的負担を軽減し、効率的な対策を講じる手助けとなるでしょう。
太陽光発電と蓄電池で平常時もお得で快適
太陽光発電システムと蓄電池の設置は、災害対策のみならず、平常時の電気代の軽減や快適な生活を実現するための有効な手段です。これらのシステムを導入することで、電気代の節約、断熱効果の向上、さらには売電収入や再エネ賦課金の削減が可能となります。
◇電気代の軽減
太陽光発電システムと蓄電池を導入することで、月々の電気代の軽減が期待できます。発電した電力を家庭内で使用することにより、電力会社から購入する電気の量を減らすことができます。
これによって、電気代の節約効果があり、電力が高騰した場合でも影響を受けにくくなります。また、余剰電力を電力会社に売ることで、売電収入が得られる可能性があります。
◇断熱効果の向上
太陽光発電システムと蓄電池を設置することによって、断熱効果の向上も期待できます。太陽光発電システムが太陽の熱を吸収して発電するため、屋根の温度が下がり、その結果、室内の温度も安定します。
特に夏場は冷房が効きやすく、冬場は雪を積もらせないことで屋根の断熱効果が高まります。このように、太陽光発電システムは室内の温度を適切に保つ助けとなり、快適な生活を維持する上での効果が見込まれます。
これらの利点を活かすためには、太陽光発電システムと蓄電池の設置を検討することで、節約と快適さを同時に実現することができます。日常生活においてもエネルギーの効率的な使用を可能にし、環境にも優しい選択肢となります。
「ぐんま5つのゼロ宣言」は、群馬県が2050年までに目指す持続可能な社会の実現を目的とした取り組みです。具体的には、県土の強靭化や防災意識向上、再生可能エネルギーの活用、省エネ推進、エネルギーの地産地消、プラスチック資源循環の構築、「MOTTAINAI運動」による食品ロス削減など、多岐にわたる対策を実施しています。
また、この宣言は2020年に発生した台風19号の被害を契機に策定され、自然災害リスクの軽減や環境保護に向けた決意が込められています。これらの取り組みを通じて、群馬県は災害に強く、環境に優しい未来づくりを進め、県民の幸福度向上を目指しています。